医療用ガーゼの種類と特徴、使用方法の解説

医療用ガーゼの種類と使用方法について解説しています。尺角、裁断、X線造影糸入り、広幅、柄付きガーゼハンカチ、折り畳みガーゼなど、各ガーゼの特徴やそれぞれの違いを分かりやすく紹介。医療用ガーゼの製造基準値(旧日本薬局法基準)やEOG、オートクレープといった滅菌方法の違いも解説します。
X線造影糸入りガーゼハンカチ
以前は小幅織機による医療用ガーゼを製造するのが主力でしたが、最近では広幅織機によるガーゼ製造の技術が進み、コスト削減や大量生産に変わりつつ有ります。

当社でも、広幅織機によるガーゼ製造方法で供給を図っておりますが、その種類にも色々あります。
今回は、医療用ガーゼの種類とその使用方法について解説いたします。

医療用ガーゼの種類及び使用方法


尺角ガーゼ


尺角ガーゼ
尺角ガーゼは、一般的に手術用ガーゼ(オペガーゼ)として病院で使用されています。
糸の綻びが無いように加工して製造されたガーゼです。

サイズは30cm×30cmをはじめ、使用方法により折り方が異なります。
(一般的に平折・2折・4折・8折・16折等がよく使用されます)

病院での使用方法によって特殊な折り方を施しています。
サバキガーゼとも呼ばれています。

当社製品
尺角ガーゼ(ガーゼタイプⅠ)
尺角ガーゼ(ガーゼタイプⅠ)



X線ガーゼ


X線ガーゼ
尺角ガーゼと同様、主に手術用ガーゼですが、手術の時にガーゼが体内に残らないように、X線で確認出来る様に造影糸が織り込まれた製品です。

30cm×30cmの大きさが一般的で、使用方法により折り方が異なります。
(一般的に平折・2折・4折等がよく使用されます)
こちらも特殊な折り方を依頼されるユーザー様は多いですね。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。
ガーゼの様々な折り方について(特殊編)

当社製品
プラスーゼX
プラスーゼX



裁断ガーゼ


裁断ガーゼ
一般的には処置用ガーゼとして様々な大きさに裁断したガーゼです。

30cmの幅で製造されたガーゼを使用するのに適したサイズにカットする事が可能です。
傷口や使用方法でサイズを選ばれるユーザー様が多いですね。

尺角ガーゼとの大きな違いは、文字通りガーゼを裁断しますので、裁断面から糸が抜けやすくなりますので手術用には適しません。
但し、傷口に当てる際、細かく加工が可能です。

大きさは30cm×10m・30cm×30cm・30cm×15cm・30cm×10cmがよく使用されています。

当社製品
裁断ガーゼ(ガーゼタイプⅠ)
裁断ガーゼ(ガーゼタイプⅠ)



広幅ガーゼ


広幅ガーゼ
医療用ガーゼは主に30cm幅の織機で製造されていましたが、横幅1mを超える織機でも製造することも可能です。
大型織機で製造することで生産量をふやす事が可能になりますので、コストの削減にもつながっています。

現在では技術が進歩し、空気の力で糸を送り製造することも可能になりました。
使用方法は尺角ガーゼと同等ですが弊社ではFNガーゼと呼んでいます。

当社製品
アルスFNガーゼ
アルスFNガーゼ



柄付きガーゼ及び柄付きX線入りガーゼ


柄付きガーゼ
手術時に臓器の台座として使用したり、血液や体液(分泌液)の量を図る目安に使用、また臓器の保護に使用するガーゼです。

ガーゼを何枚か重ねてミシンで縫い合わせた物が「ガーゼハンカチ」と呼ばれるものになります。
血液や薬品等の液体を多く吸う為に使用します。
また、ガーゼを何重にも重ねて破れにくくして臓器を守るためにも使います。

このガーゼハンカチを手術時に体内に入れるとき、

・ガーゼが体内に落ちてしまわないようにする
・ガーゼを取り出しやすくする
・ガーゼがあると分かりやすくする

などの理由で、ガーゼハンカチの端に柄を付けます。
これが「柄付きガーゼ」になります。
中にはX線造影糸を施したものもあります。

当社製品
ガーゼハンカチ(柄付き・柄なし)
ガーゼハンカチ



折り畳みガーゼ


広幅ガーゼ
ガーゼでは大きすぎる傷口や殺傷箇所に直接当てる為の加工ガーゼです。
5cm×5cm・5cm×7.5cm・7.5cm×7.5cm・7.5cm×10cm・10cm×10cm等サイズバリエーションがあります。
弊社ではプラスAと呼ばれる商品で、1枚づつ紙包装して滅菌加工してあるガーゼ(滅菌プラスA)もございます。

当社製品
プラスA (ガーゼタイプⅡ)
プラスA (ガーゼタイプⅡ)



医療用ガーゼとしての製造基準値(旧日本薬局法基準)


医療用ガーゼはガーゼの品質によってタイプ分類がされており、主な内容は以下のとおりです。

タイプⅠ 1cm×1cm四方に縦糸12本・横糸12本があるもの
タイプⅡ 1cm×1cm四方に縦糸12本・横糸12本があるもの
タイプⅢ 1cm×1cm四方に縦糸11本・横糸11本があるもの
タイプⅣ 1cm×1cm四方に縦糸9本・横糸9本があるもの

主な分け方としては糸の本数と重さになります。
タイプⅠとタイプⅡの違いは重さの他に、ガーゼを作る時に30cm幅で製造されているガーゼがタイプⅠになります。



滅菌について


EOG滅菌


エチレンオキサイドガス(EOG)による滅菌方法です。
大きな滅菌器でガスを利用して滅菌しますので大量生産が可能です。
一般的に有効期限は3~5年です。 

オートクレープ滅菌


蒸気による高温での滅菌方法です。
ガスを使用しないのでガスの残留の問題はありませんが、高温で処理しますのでポリエチレンなど高温で滅菌できない製品もあります。
一般的に少量生産向けで有効期限は1年間ぐらいです。

以上、ガーゼの種類やそれぞれの特徴・違いについてのご紹介でした。
当社では使用目的に応じて製品を様々なニーズにお応えできる様に日々、努力しております。
別注品やOEMなども承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


商品部 坂木 豊一
2017年12月06日
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