体温計のお話。コロナを機に体温計の歴史や種類についてまとめてみました

コロナ禍で体温計が非常に品薄です。特に非接触の体温計は入荷したらすぐに売り切れ。そこで今回は体温計の歴史や種類についてまとめてみました。水銀式や灯油・アルコール式、電子体温計、赤外線式(非接触)、液晶式など、参考にしてみてください。
体温計
皆さん、コロナ禍の中、いかがお過ごしですか。
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、今なお予断を許さない状況が続いております。

解除されたことにより、人々にも気の緩みが生じ、少し開放的になっているところも見受けられますよね。
このままでは第二波、第三波も大いにあり得ますので、ますます油断は出来ません。

私どもも、医療機関に出入りさせていただいております業種ゆえ、引き続き日々の検温や消毒、感染予防は徹底しております。
1日に何件も訪問するので、その都度検温、消毒もしております。

もうホント、1日に何回するんだっていう位、熱を測っております。

ここ数ヶ月で、今までの人生で測ってきた数を上回ったといっても過言ではないでしょう。(人によるとは思いますが)
最近では体温計が非常に品薄でして、お客様からご注文をいただいてもお持ちできない日々が続いております…。
非接触の体温計なんて特に人気で、入荷したらすぐに売り切れています。

そういえば、昔は水銀の体温計とかで、熱を測るのに随分時間がかかっていたものですが、今では1秒で測れるものも出ていまして、便利な世の中になったものだなぁと思っておりました。

そこで!今日は体温計の歴史をお話ししようと思います。
一体いつからあって、どんな種類の体温計があるのか、さっそく見ていきましょう。


体温計の歴史


体温計というのは温度計の一部で、温度計自体は今から約400年前に発明されたようです。
江戸時代ぐらいと考えると思ったより最近ですね。

ですがそこからすぐに体温計が生まれたかというとそういうわけではありません。

そこから温度計は様々な種類のものが発明されていきますが、体温を測ることに特化した体温計が発明されたのは今から約150年前、幕末の時代です。

それまでも勿論体調が悪いときには体が熱くなるというのは当たり前だったでしょうが、正確に体温を測れるものというのは存在してなかったんですねぇ。

その時に発明されたのが、つい最近まで第一線で活躍していた水銀体温計です!
さて、ではここから体温計の種類についてみていきましょう。


体温計の種類


水銀体温計


金属水銀をガラス管の中に封入させた体温計です。
仕組みは水銀が熱膨張するのを利用し、膨張した幅を目盛で数値化して体温を測ります。

体温を確認する時に水銀が逆流しちゃうと正確な温度がわからないですよね?
その為に、水銀溜りの出口に留点と呼ばれる細いくびれがあります。

水銀の逆流を防いで、温度が下がっても目盛りが下がらないように工夫されています。
温度をリセットするには使用後に本体を振って、慣性力によって水銀を水銀溜まりに戻します。

我が家に長年あったのはこいつですねぇ、測るのに時間がかかるんですよ。
まぁその分正確だったみたいですけどね。
最初に発明されたのに正確さを兼ね備えているなんて凄いやつです。

だけどこのタイプは水銀を元の目盛りに戻そうとすると上述した通り本体を振る必要があったんですよね。
この時に手からすっぽ抜けちゃったりどこかにぶつけたりして本体が破損しちゃう事故が多発していたんです。

水銀は危ないといわれますが、実は口から飲んでも体内では消化されずにそのまま便として排出されるんです。
ただし、気化した蒸気は有毒性があり、水銀中毒や死に至ることもありますので取り扱いには注意が必要ですね。

少し話は逸れますが、水銀を用いた体温計や血圧計は現在でも使用することは可能です。
しかし水俣条約および水銀汚染防止法等により、2021年1月1日以降、製造、輸出入が禁止になります。

廃棄するには廃棄物処理法に従った対応が必要です。
世界保健機関(WHO)は、水銀血圧計、水銀体温計の全廃を目指しているのです。

灯油・アルコール式


水銀に代わりに着色した灯油、アルコールを使用したもの。
安全性の観点から一時普及はしたものの、精度の面では水銀式に劣るんですね。
電子式の普及によりこのタイプの体温計はあまり使用されなくなっていきました。

サーミスタ式(電子体温計)


サーミスタとは、抵抗体のことであり温度変化に対して抵抗値の変化が生じるものです。
この特性を利用して電子回路により体温を測定し、測定値を表示するタイプです。
登場したのは1980年代ごろで、内蔵されているボタン電池が動力源となっています。

測定値を数値化して内部に記録することにより基礎体温の変化を監視する機能をもったようなタイプもあります。

これが今となっては最もメジャーになっている体温計ですね。
一家に1台はあるのではないでしょうか。

水銀体温計に比べ、早い時間で測定できるので、初めて使ったときはなんて早いんだ!と思った覚えがあります。
しかしよくよく調べると、計測方式も実は二種類あって、外箱や取扱説明書に明記されているようです。

実測式
センサーで温度を計測して、これ以上上がらない温度まで図る方法になります。
実際の温度を測るので時間を要し、3分からメーカーによっては10分以上かかるものがあります。

予測式
測定を開始してから、体温上昇データを利用して体温を予測する方式です。
これまでに多くの人から得たデータを統計的に演算して10分後の体温を計算しています。

これまで時間をかけて体温を測っていたのが1分もかからずに測定できるので便利ですが、予測の数値ですので正確性に疑問がある機種もあるようです。
メーカーでは予測値を正確にするために実測した体温データを解析するなどしています。

実測・予測を切り替えたり、予測式としての計測終了の合図があった後も計測を継続することで精度を向上させる機種もある。

なるほど、私が早いなぁと思っていたのは予測式で体温を測っていたからというわけですな。
出た当初は正確性に欠ける機種も多々あったようですが、今となってはコンピューターも進化して、より正確な体温を測ることが可能になっているようですね。

他にも白銀による電気抵抗を利用した白金測温抵抗体を使ったタイプもあります。

赤外線式


温度のある物体のほとんどは、その温度に準じた量の赤外線を放出します。
この体温計は放出された赤外線の量を測定して温度を計算します。

又は黒体放射と呼ばれる原理を利用して測定するタイプもあります。
特徴としては計測速度がとんでもなく速いということです。
赤ちゃんの体温を測る耳式体温計もこのタイプが多いですね。

空港に設置しているように複数人の温度を一瞬で測定する高性能なものもあります。
高性能な分だけ価格も高価になります。

また、電子体温計のように、ある一定の体温の変動を平準化して計測するのに対し、赤外線式は測定した瞬間の体温になりますので測定結果に誤差が生じることがあります。

安静状態の体温でないことが多いので、他の方式よりも若干高めの値が得られることが多くなり、動作原理上(物理的な意味で)でも測定誤差が生じやすい問題もあります。

こいつです!
最近よく見かける売れ筋のやつ!

コロナが流行ってからというものバカ売れで、なかなか入荷してこないんです。

やっぱり接触を避けることが大事ですから、非接触体温計なんてそりゃ理にかなってますよね、売れますよ。

ホントものの1秒で体温測れちゃうんでね、すごく早いし、何より大人数を検温しなくちゃいけない時なんて1人に何分もかけてられないですもんね。

しかしながらこちらにもやはりデメリットというのはありまして、結構誤差が出ちゃったり、正確性に欠ける部分があるんですよね、高めに出ちゃったり。
値段も高めですし。

あとまたしても話は逸れますが、医療の現場などで使われるサーモグラフィにも同じように赤外線が利用されており、一般的に高温は赤色、低温は青色で表示されます。
人の体から発せられる赤外線を感知し、炎症や神経損傷を患っている部分を特定するのにも用いられます。

液晶式


温度によって分子の並びが変化するコレステリック液晶を利用した体温計。
細かな測定はできないが、消毒液などの物資が少ない場所(難民キャンプ等)で用いられることがある。
正確な数値よりも人命が優先となるため、瞬時に現状を把握するために役立つものになっている。


終わりに


科学の発展とともに、体温を測る技術もここ数年で著しく成長を遂げています。
お店への入店時に体温測定って、と思っていましたがカメラを使って自然に歩いているだけで体温測定完了と、ストレスフリーになる世の中に代わりました。

電子体温計が世に出た当初も正確性に欠けるなどの問題がありましたが、非接触体温計もどんどん修正と改良が加えられ、スピーディかつ正確な数値を出せるようになるかもしれませんね。

残念なことではありますが、戦争が始まれば科学技術が進化するように、パンデミックが起こると、医療が発展するような部分もあるかもしれません。

政府の緊急事態宣言が解かれて以前の生活に戻りつつありますが、皆様、まだまだ油断は出来ません。
関東では感染者が増加し、第2波がすぐそばまで来ているかもしれません。

意識しすぎてストレスを抱え込むと逆効果になりますが、ウィズコロナの新しい生活習慣で楽しい生活を送りましょう。
そのためには我々一人一人の意識が大切になってきますね。


本社営業部 吉田 昌弘(吉は上が士の方の吉です。詳しくは以前のコラムで)
本社営業部 中尾 紀貴
2020年07月06日
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