不織布って何?製法や医療用マスクの種類、JIS規格について解説します

コロナ感染予防のためにマスクを着用するも、今度は体温管理も大事になってきます。市場には高機能なマスクも登場してきましたが、マスクの性能について気になる方も多いでしょう。今回はマスクの原材料となる不織布の製法や医療用マスクの種類、JIS規格について解説します。
不織布マスク
今年の夏は酷すぎる暑さでまさしく酷暑ですね。
さらに感染予防のためにマスクの着用が必要になり体温管理が大変になりました。
厳しい夏ですが発見することも多々ありました。

それがマスクの種類です。

我々医療消耗品を取り扱っている立場ではマスクといえば感染予防を目的とし、基本的には使い捨てタイプで素材は不織布というイメージです。

この不織布マスクが品薄になって再度脚光を浴びたのが“使い捨てない“高機能マスクです。
しかも素材はガーゼだけではなくシルクやウレタンなど多種多様でしかもおしゃれ。

ショッピングモールで行う某鬼ごっこの番組では頬には空気弁を2か所、ノーズクリップを付け、生地は伸縮性のある素材を使用してマスクもこんなに進化したのかと驚きました。

マスクの原材料が不足した“おかげ?”で様々なマスクが登場しましたけど、マスクが不足した原因は主な原材料の不織布が市場から一気になくなったからです。
マスクだけどそのマスク大丈夫かな?というのも中にはあります。

マスクで重要な役割をしているのがメルトブロー不織布と呼ばれるもので、ほかにもさまざまな種類の不織布があります。
今回は不織布を御紹介してみようと思います。
また、2021年6月に登場したマスクのJIS規格についても解説していますのでご参考ください。


そもそも不織布ってなに?


不織布の定義はアメリカのASTM、日本ではISOで下記のように定められています。

「繊維状構造物で接着剤や科学的に機械的に繊維を絡ませたり、くっつけたシートやバット状のもので、紙やフィルムは不織布とは違うよ」ということです。

素材はナイロンやアクリル、ポリエステルなどの化学繊維だけ?と思いますが、コットンや羊毛、シルクなど天然素材も含まれます。
織らない布=不織布となりますので、織ったり編んだりしないで、水の圧力で絡ましたり、接着剤でくっつけると不織布になります。

作り方は先ほど言いましたように多種多様で、作り方や素材によって特徴がありますので次は製法を御紹介しますね。


不織布の様々な製法


不織布は製法によって特徴が変わると言いましたが数多くある製法の内で何種類かを御紹介しますね。

1.湿式法


水をためた水槽の中に不織布の繊維を入れて、細かい網ですくって均一になるように伸ばして濾してあげる方法ですね。
この後に高熱のドライヤーで乾燥して完成します。

イメージしていただきたいのが紙や海苔の作り方ですね。
海辺に天日干ししている海苔が乾燥の工程です。
当然、濾すのも器械でしますし、乾燥も天日干しではなく大型ドライヤーを使用します。

2.スパンボンド法


ポリプロプレンやポリマー樹脂など粒状のものを原材料として使います。
粒状の原材料を溶かしてノズルから糸状に押し出します。
糸状になったものをシートにするために様々な接着方法があります。

ⅰ.熱接着法
 ベルトコンベヤーに格子型などの形に糸状の原材料を押し出し、加熱した2本の棒の間を通過して溶かして結合させる方法です。
接着方法ではこの熱圧着方法が多く採用されています。

ⅱ.接着剤接着法
 原材料を所定の形に押し出す方法は熱圧着と同じですが、接着剤を霧状に降りかけて圧をかけて接着する方法、接着剤が塗られた棒にシートを通してくっつける方法などがあります。

ⅲ.ニードルパンチ方
 文字の通り、針(ニードル)で上下運動(パンチ)で繊維を絡ませる方法です。

弊社の不織布製マスクは表側と裏側の不織布はこのスパンボンド法不織布を使用しています。
特徴としては生産スピードが速いので大量生産ができることと、繊維(糸)が長いので強度が安定しています。

3.メルトブロー法


原材料ポリマーを溶かし(メルト)0.2mm以下の極小の穴が1mm程の間隔で並べられた吹き出し口から空気の勢いでドラムに向けて原材料を吹き付けて(ブロー)作る方法です。

溶かした液をドラムに直接吹き付けますので、繊維が細く、繊維間の目が細かいのが特徴です。

不織布製マスクで重要になるのが実はこの不織布です。
不織布マスクの性能ですが、主にフィルターの性能試験で判断しているのです。

パッケージにBFEやPFE、ここ最近ではVFEが何%って書かれていませんか?この数値はこのメルトブロー不織布でできたフィルターの数値になります。

例えばPFE99%は0.0001センチメートルの疑似ウイルスを99%カットしちゃうのです。

目に見えないものを採集するためには格子状に重ねたものや濾してできた不織布では対応が難しいので、繊維間の隙間がほとんど生まれないこのメルトブロー不織布が活躍しています。

今年の春にマスクが売れ切れて市場から消えちゃいましたね。
その原因がこのメルトブロー不織布が無くなったからです。

マスクの価格を左右するのもこの不織布が大きな要因を担っています。

4.スパンレース法


医療業界ではこの製法でできた不織布はアイソレーションガウンやガーゼなどで活躍しています。
綿や繊維などをベルトコンベヤーに敷き詰めて高圧の水をノズルから吹き付けて繊維を絡ませて作ります。
上からの一方向だけだと強度に不安がある、絡まり方が不十分になりやすくなるので上下から水を吹き付けるのが一般的になります。

生地が柔らかく、接着剤を使用しないので衛生的なところも医療現場で好評な要因になりますね。
弊社のソフトプレスはこの製法で作られていますが、あえて水の圧力をさらに強めて生地を固くしています。

圧力の変化で柔らかさを変えることができるのも特徴の一つですね。


ほかにも様々な製法がありますが今回は医療現場で特に活躍している不織布の製法を御紹介させていただきました。

弊社は不織布シートの製造を行っていませんので詳しく掘り下げたお話はできませんが、新型コロナウイルスの感染が確認されて以降、弊社にお問い合わせが多くありましたので、少しでもお役立てできればと思い御紹介させていただきました。


医療用マスクの種類


また、マスクはどのようなところに気を付ければいいの?というお問い合わせもよく頂戴します。

マスクで一番大事な性能はこちらで御紹介させていただきましたメルトブロー製法で作られた不織布フィルターの性能です。
残念ですが、中にはフィルターが入っていないマスクをサージカルマスクや医療用マスクといって販売しているものもあります。

医療用のマスクにはレベル分けがありますので下図で御紹介しますね。

レベル1レベル2レベル3
微粒子捕集効率(PFE)≧95%≧98%≧98%
バクテリア飛沫捕集効率(BFE)≧95%≧98%≧98%
人工血液バリア性80mmHg120mmHg160mmHg
圧力損失(息のしやすさ)<4.0mmH2O/c㎡<5.0mmH2O/c㎡<5.0mmH2O/c㎡
可燃性クラス1クラス1クラス1


アメリカではレベル1以上のマスクが医療用マスクとして取り扱われています。
中でもウイルスをどれほど捕集するのが大事になりますので気にかけてほしいのはPFEとBFEの数値ですね。

つまりPFEとBFEが95%以上でなければ医療用とは??ってことになりますね。
この試験は日本でも実施できる機関があり、弊社の製品も試験を行ってもらっています。

また、日本には一般社団法人全国マスク工業会というものがあります。

会員マークを使用するには上記の試験データを提示し、必要な文言をパッケージに記載して承認を得なければいけません。
当然会員でなければいけないですよ。

マークの不正使用にご注意ください


最近マークを不正使用している企業があるようですので注意が必要です。
全国マスク工業会ではパッケージに書かれている内容についても厳しく管理していただいています。

先ほど紹介した性能についても表示するには多くの取り決めがあります。
たとえば、小数点以下の数字が入ってはダメ!ですね。
多くの企業はマスクの性能を差別化するために、「99.9%カット!!」など大きな文字で小数点以下の数値を記載しているのも見かけたことがあります。
このような表記があって、マスク工業会のマークがついていると、表記違反かマークを無断で使っている可能性がありますので要注意!


マスクJIS規格化について


新型コロナウイルスが流行して以来、「どんなマスクを買うといいの?」、「マスクを買う時に気をつけるところは?」というお問い合わせを多数弊社に頂いています。

そんな、マスクの選び方を解決する「規格」が2021年6月に登場しました。
日本でおなじみのJIS規格が、ついにマスクに対して定められました。
今回はこのマスクのJIS規格について触れてみようと思います。

そもそもJIS規格って?


Japanese Industrial Standardsの頭文字をとってJISと呼ばれていますが、日本語に変換すると「日本産業規格」と呼ばれるもので、経済産業省が定めている国家規格になります。
(私が初めて知った時は「日本工業規格」でしたけど、法改正で名称が変わりました。)

世の中には様々な商品が流通されていますが、互換性や公正性の確保と安全や健康を維持するためなど、製品ごとに様々な規格を国レベルで定める事が目的になります。
今回は、JISは国が定めた規格ですよ、ということを覚えていただければいいと思います。

マスクの規格って?


マスクがJIS規格化されるまで、医療用や家庭用などマスクの明確な規格化がされていませんでした。
安全にマスクを使用していただくために、日本衛生材料工業連合会を構成する全国マスク工業会が一定のルールを定めて頂いていました。
この基準をクリアすることで、全国マスク工業会マークが使用できました。

日本衛生材料工業連合会はそもそも厚生労働省が管理していましたが、マスクについては自主規格でしたので、なかなか世間一般的に認知されていませんでした。
今回の新型コロナウイルス感染拡大で様々なマスクが出回りましたが、中にはウイルスを濾過するフィルターが入っていない、嘘や大げさな記載がある、何を基準にしたらいいのかわからないなど、買う側が判断に困る、予防しているつもりでも意味が無かったなど混乱が生じましたね。

皆さんが安心してマスクをご利用頂くために、販売する側も何を基準にして販売したらいいのかなどを明確にするため、ついに2021年6月16日に厚生労働省と経済産業省がタッグを組んでJIS規格化されました。

マスクのJIS規格化って?


マスクがJIS規格され基準が明確になりましたが、製造販売側はJIS規格マークを取得する為に様々なハードルを越えなければいけません。
ここでは試験についてご説明しますね。

1.マスクにも種類がある
今回のJIS規格化されたマスクは大きく分けて2種類あります。

JIS T-9001:医療用マスク及び一般用マスクの性能要件及び試験方法
JIS T-9002:感染対策医療用マスクの性能要件及び試験方法

名称をみるとJIS T-9002の方が高性能と思いますが、実際にN-95などの防塵マスククラスの性能で、一般的に使われているマスクとは少し異なりますので割愛しますね。

今回はJIS T-9001について取り上げてみます。

2.JIS T-9001とは
よくドラッグストアやコンビニなどで見かける3層タイプでジャバラ状になっているマスクがこのタイプになります。
このJIS T-9001内でも医療用マスクと一般用マスクに分かれています。

3.医療用マスクと一般用マスクの違い
JIS T-9001には細かく10個の試験項目があります。

ⅰ:バクテリア飛沫捕集効率試験(BFE)
黄色ブドウ球菌を機械でフィルターに噴霧して通過した粒子を測る試験

ⅱ:微小粒子捕集効率試験(PFE)
0.1μmのラテックス粒子を機械でフィルターに噴霧して通過した粒子を測る試験

ⅲ:ウイルス飛沫捕集試験(VFE)
バクテリアフォージ、大腸菌をフィルターに噴霧して通過した粒子を測る試験
ⅰ~ⅲは様々な大きさや形の疑似ウイルスをどれだけ防いだかを%で表します。

ⅳ:人工血液バリア性
人工血液を指定した圧力(最低80mmhg)でフィルターに吹き付けて染み出ないか
を目視で確認する試験。
32枚の試験検体で3枚以内に収まれば合格。
防水性を測る試験で圧力が高いほど防水能力が高くなります

ⅴ:圧力損失
フィルターに8.0L/分の空気を送り込み表と裏の圧力の差を測る試験
息がどれだけしやすいかという試験になります。

ⅵ:可燃性試験
マスクを細いひも状に裁断して燃やし、燃焼する秒数を測る試験。
電気メスとかが触れても燃えにくいかを判断する安全性を測る試験になります。

以上がマスクの機能性を測る試験になります。
医療用マスクは上記の全ての項目で一定の数値を越えなければいけません。

家庭用マスクではⅰ~ⅲに加えて下に記載するⅶ:花粉粒子捕集効率試験を含めた4項目の内でいずれか1項目をクリアと圧力損失の合計2項目が必要になります。

ⅶ:花粉粒子捕集効率試験
大きさ30μm~40μmの石松子をフィルターに噴霧して通過した粒子を測る試験

医療用マスクの試験をクリアするにはハードルが高く設定されているということですね。

更にホルムアルデヒトや蛍光塗料が含まれていないか、色の付いたマスクは発がん性の可能性が疑われているアゾ色素が含まれていないか?という材質の3項目が含まれて、合計9項目の試験が必要になります。

試験をクリアすればいいの?


医療用マスクは様々な試験をクリアしても、更にJIS規格申請というのがあります。
こちらは全国マスク工業会でも定めていましたパッケージの記載方法も審査の対象になります。

以前のコラムでも御紹介しましたが、パッケージ記載方法も多くのルールがあります。

1.マスクは感染(侵入)を完全に防ぐものではありませんと記載する事
2.BFEやPFEをはじめ性能を表す数字を記載してはアウト!

2つめの数字を記載してはいけないよ!というのは2024年1月から全国マスク工業会のマーク使用に対しても適用されます。
数字が書いてあるから安全に思われがちですが、今後は数字が書いていない方が安心というように変わるかもしれませんね。
2024年以降はJISマークや全国マスク工業会マークがあっても数字が書いている商品は要注意!です。

ほかにも、必要な記載事項や表現してはいけないものなどがあります。
すべてをクリアして、全国マスク工業会で認証を得た後にJIS認証番号が発行されます。

弊社のアルスフェイスマスクもついにJIS規格の承認をいただきました。
でも、、パッケージにJISマークが入るのは少し先になります。

寒くなると新型コロナウイルスだけでなく、風邪やインフルエンザなど色々なウイルスに対して準備が必要になります。
そんな大事な時にマスクは切らしたくない!!ということで在庫を多く確保しました。
2023年の春にはJISマークがついたアルスフェイスマスクが手元に届きます。

アルスフェイスマスク

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弊社ブランドネームのALSはAsahi Life with Smileの意味があります。
皆様が笑顔になる商品をお届けできるように頑張り続けます。

師走に入り今年も残りわずか。自分を守り、大切な人に移さない為にも、また、これからは年末に向けて忙しくなる中、風邪やインフルエンザなどコロナウイルス以外にも気をくけないといけないことが増えると思います。

皆様がマスクを選ぶために参考になれば大変うれしく思います。


本社商品部 山崎 博士
本社商品部 亀田 冬也
2022年12月05日
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