不織布って何?製法や医療用マスクの種類について解説します

コロナ感染予防のためにマスクを着用するも、今度は体温管理も大事になってきます。市場には高機能なマスクも登場してきましたが、マスクの性能について気になる方も多いでしょう。今回はマスクの原材料となる不織布の製法や医療用マスクの種類について解説します。
不織布マスク
今年の夏は酷すぎる暑さでまさしく酷暑ですね。
さらに感染予防のためにマスクの着用が必要になり体温管理が大変になりました。
厳しい夏ですが発見することも多々ありました。

それがマスクの種類です。

我々医療消耗品を取り扱っている立場ではマスクといえば感染予防を目的とし、基本的には使い捨てタイプで素材は不織布というイメージです。

この不織布マスクが品薄になって再度脚光を浴びたのが“使い捨てない“高機能マスクです。
しかも素材はガーゼだけではなくシルクやウレタンなど多種多様でしかもおしゃれ。

ショッピングモールで行う某鬼ごっこの番組では頬には空気弁を2か所、ノーズクリップを付け、生地は伸縮性のある素材を使用してマスクもこんなに進化したのかと驚きました。

マスクの原材料が不足した“おかげ?”で様々なマスクが登場しましたけど、マスクが不足した原因は主な原材料の不織布が市場から一気になくなったからです。
マスクだけどそのマスク大丈夫かな?というのも中にはあります。

マスクで重要な役割をしているのがメルトブロー不織布と呼ばれるもので、ほかにもさまざまな種類の不織布があります。
今回は不織布を御紹介してみようと思います。


そもそも不織布ってなに?


不織布の定義はアメリカのASTM、日本ではISOで下記のように定められています。

「繊維状構造物で接着剤や科学的に機械的に繊維を絡ませたり、くっつけたシートやバット状のもので、紙やフィルムは不織布とは違うよ」ということです。

素材はナイロンやアクリル、ポリエステルなどの化学繊維だけ?と思いますが、コットンや羊毛、シルクなど天然素材も含まれます。
織らない布=不織布となりますので、織ったり編んだりしないで、水の圧力で絡ましたり、接着剤でくっつけると不織布になります。

作り方は先ほど言いましたように多種多様で、作り方や素材によって特徴がありますので次は製法を御紹介しますね。


不織布の様々な製法


不織布は製法によって特徴が変わると言いましたが数多くある製法の内で何種類かを御紹介しますね。

1.湿式法


水をためた水槽の中に不織布の繊維を入れて、細かい網ですくって均一になるように伸ばして濾してあげる方法ですね。
この後に高熱のドライヤーで乾燥して完成します。

イメージしていただきたいのが紙や海苔の作り方ですね。
海辺に天日干ししている海苔が乾燥の工程です。
当然、濾すのも器械でしますし、乾燥も天日干しではなく大型ドライヤーを使用します。

2.スパンボンド法


ポリプロプレンやポリマー樹脂など粒状のものを原材料として使います。
粒状の原材料を溶かしてノズルから糸状に押し出します。
糸状になったものをシートにするために様々な接着方法があります。

ⅰ.熱接着法
 ベルトコンベヤーに格子型などの形に糸状の原材料を押し出し、加熱した2本の棒の間を通過して溶かして結合させる方法です。
接着方法ではこの熱圧着方法が多く採用されています。

ⅱ.接着剤接着法
 原材料を所定の形に押し出す方法は熱圧着と同じですが、接着剤を霧状に降りかけて圧をかけて接着する方法、接着剤が塗られた棒にシートを通してくっつける方法などがあります。

ⅲ.ニードルパンチ方
 文字の通り、針(ニードル)で上下運動(パンチ)で繊維を絡ませる方法です。

弊社の不織布製マスクは表側と裏側の不織布はこのスパンボンド法不織布を使用しています。
特徴としては生産スピードが速いので大量生産ができることと、繊維(糸)が長いので強度が安定しています。

3.メルトブロー法


原材料ポリマーを溶かし(メルト)0.2mm以下の極小の穴が1mm程の間隔で並べられた吹き出し口から空気の勢いでドラムに向けて原材料を吹き付けて(ブロー)作る方法です。

溶かした液をドラムに直接吹き付けますので、繊維が細く、繊維間の目が細かいのが特徴です。

不織布製マスクで重要になるのが実はこの不織布です。
不織布マスクの性能ですが、主にフィルターの性能試験で判断しているのです。

パッケージにBFEやPFE、ここ最近ではVFEが何%って書かれていませんか?この数値はこのメルトブロー不織布でできたフィルターの数値になります。

例えばPFE99%は0.0001センチメートルの疑似ウイルスを99%カットしちゃうのです。

目に見えないものを採集するためには格子状に重ねたものや濾してできた不織布では対応が難しいので、繊維間の隙間がほとんど生まれないこのメルトブロー不織布が活躍しています。

今年の春にマスクが売れ切れて市場から消えちゃいましたね。
その原因がこのメルトブロー不織布が無くなったからです。

マスクの価格を左右するのもこの不織布が大きな要因を担っています。

4.スパンレース法


医療業界ではこの製法でできた不織布はアイソレーションガウンやガーゼなどで活躍しています。
綿や繊維などをベルトコンベヤーに敷き詰めて高圧の水をノズルから吹き付けて繊維を絡ませて作ります。
上からの一方向だけだと強度に不安がある、絡まり方が不十分になりやすくなるので上下から水を吹き付けるのが一般的になります。

生地が柔らかく、接着剤を使用しないので衛生的なところも医療現場で好評な要因になりますね。
弊社のソフトプレスはこの製法で作られていますが、あえて水の圧力をさらに強めて生地を固くしています。

圧力の変化で柔らかさを変えることができるのも特徴の一つですね。


ほかにも様々な製法がありますが今回は医療現場で特に活躍している不織布の製法を御紹介させていただきました。

弊社は不織布シートの製造を行っていませんので詳しく掘り下げたお話はできませんが、新型コロナウイルスの感染が確認されて以降、弊社にお問い合わせが多くありましたので、少しでもお役立てできればと思い御紹介させていただきました。


医療用マスクの種類


また、マスクはどのようなところに気を付ければいいの?というお問い合わせもよく頂戴します。

マスクで一番大事な性能はこちらで御紹介させていただきましたメルトブロー製法で作られた不織布フィルターの性能です。
残念ですが、中にはフィルターが入っていないマスクをサージカルマスクや医療用マスクといって販売しているものもあります。

医療用のマスクにはレベル分けがありますので下図で御紹介しますね。

レベル1レベル2レベル3
微粒子捕集効率(PFE)≧95%≧98%≧98%
バクテリア飛沫捕集効率(BFE)≧95%≧98%≧98%
人工血液バリア性80mmHg120mmHg160mmHg
圧力損失(息のしやすさ)<4.0mmH2O/c㎡<5.0mmH2O/c㎡<5.0mmH2O/c㎡
可燃性クラス1クラス1クラス1


アメリカではレベル1以上のマスクが医療用マスクとして取り扱われています。
中でもウイルスをどれほど捕集するのが大事になりますので気にかけてほしいのはPFEとBFEの数値ですね。

つまりPFEとBFEが95%以上でなければ医療用とは??ってことになりますね。
この試験は日本でも実施できる機関があり、弊社の製品も試験を行ってもらっています。

また、日本には一般社団法人全国マスク工業会というものがあります。

会員マークを使用するには上記の試験データを提示し、必要な文言をパッケージに記載して承認を得なければいけません。
当然会員でなければいけないですよ。

※最近マークを不正使用している企業があるようですので注意が必要です。

多機能なマスクが市場に出回り新しい発見や驚きがあり我々も刺激をいただいています。
その中でも不織布製マスクをふくめた不織布の疑問に今回のコラムがお役立てできましたら幸いです。


本社商品部 山崎 博士
本社商品部 亀田 冬也
2020年09月07日
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