コロナ禍の冬に備えて

国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから10カ月余り、発熱性の呼吸器感染症などが流行する冬の季節をむかえました。今年の冬は危険がいっぱいです。今回は例年冬に流行する感染症について簡潔にまとめてみました。
コロナ禍の冬に備えて
夏頃までには新型コロナウイルス(COVID-19)も終息するかと思われましたが、いつの間にか寒い冬をむかえました。
新型コロナウイルスは、現在のところ季節に関係なく私たちの身近な所に潜んでいます。

有効で安全なワクチンの開発が急がれていますが、私たちが接種出来るようになるのは、まだ先になりそうですね。

今年の1月中旬に国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから10カ月余りで国内の感染者は累計で10万人を超えています(世界累計では9月末で3300万人超)。

今も全国で連日300~1000人程(10月末時点)が新たに確認されており、感染者の増加に歯止めがかからない状況です。
欧州でも第二波の感染拡大によって、再び外出規制などの対策が講じられています。

このような状況の中で、発熱性の呼吸器感染症などが流行する冬の季節をむかえました。
今年の冬は危険がいっぱいです。

例年冬に流行する感染症について簡潔にまとめてみました。


なぜ冬に感染症が流行するのか


冬の時期の低温・低湿度は、ウイルスにとって最適な環境(温度16℃以下・湿度40%以下)になるため、夏より長く生存する事ができ、感染力が強くなります。

逆に人は、寒さ・乾燥・体内水分の不足が免疫力の低下につながります。

冬になると乾燥によって喉や鼻の粘膜の感染に対する防御反応が弱まります。
さらに喉が渇きにくく感じるため、気づかないうちに体内水分が減少し防御反応を弱めてしまいます。

食事や睡眠の体調管理と同時に「適度な湿度を保つ」「水分補給を意識して取る」ことも免疫力の低下を防ぐ対策になります。


ウイルスの主な感染経路は


飛沫感染:感染した人の咳やくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことで感染
接触感染:ウイルスの付いた人の手を触る、ウイルスの付いたドアノブ等を触るなど皮膚やモノを介して感染
経口感染:ウイルスの付いた食べ物、ウイルスの付いた調理器具などから口に入り感染

冬の主な感染症


ウイルス性胃腸炎
主な原因ウイルスはノロウィルス・ロタウィルスなどです。
乳幼児から高齢者までの広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こします。

主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱を引き起こします。
一般的には3~4日程で回復しますが、抵抗力の衰えた高齢者の方は脱水症状や体力の消耗により重篤化する事もあります。

症状回復後でも1~2週間にわたり糞便中にウイルスを排出し続けるため、二次感染にも注意が必要となります。

インフルエンザ
インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症です。
A、B、C型の3つの型に分類されています。

38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れるA型、高熱の場合もありますが微熱の場合もあり下痢や腹痛の消化器系の症状が現れることもあるB型、C型は鼻水や軽い発熱程度で大事に至ることはなさそうです。

一般的には一週間程で回復します。
ワクチンの接種をしていても、別の型や変異したインフルエンザに感染するリスクもあるため注意が必要です。

かぜ症候群
「かぜ」は鼻、口、喉などの粘膜にウイルスが感染しておこる感染症です。
主な原因ウイルスはライノウイルス・(新型とは別の)コロナウイルス・RSウイルスなどで他にも200種類以上あると言われています。

共通する主症状はせき・鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱、全身倦怠感などです。
一般的には3~4日程で回復します。


新型コロナ・インフルエンザ・かぜの流行に備えて


冬に流行する感染症は、発熱のほか、咳や鼻づまりなどの呼吸器症状を引き起こすウイルスが多いです。
例年、かぜとインフルエンザを識別するだけでも難しいのに、今年はそれに新型コロナウイルスの可能性まで加わります。

医療の現場でも同時流行に備え「外来・検査体制の整備」に追われています。
冬の医療現場は例年急性疾患の外来患者であふれるところに、新型コロナを疑いながらの対応になるわけですから、医療従事者の方々にかかる負担は、例年以上に大変なものになるでしょう。

私たちは、医療現場の方々の負担を少しでも減らすためにも、感染症に対して出来る限りの予防をしておきたいところです。

最近個人的に気になるのは、スーパーなどに買物に行くと、店頭入口に設置された手指消毒(接触感染予防)をせずにお店に入っていく方をよく見かけます。
マスク(飛沫感染予防)こそされていますが長いコロナ禍で少し気が緩んできているのかもしれません。

皆さん、もうインフルエンザワクチンを接種されましたか?
私たちがこの冬に備えて出来る事の一つは、インフルエンザワクチンの予防接種です。

ワクチン接種によって65歳以下の発病割合を70~90%減少、65歳以上の方の重症化割合を30~70%防ぐことが出来ます。

コロナ禍で先に冬をむかえた南半球では、インフルエンザの流行が認められなかったとWHO(世界保健機関)は報告しています。
この理由として、新型コロナに対する咳エチケットや手指衛生などの対策がインフルエンザ流行阻止の一因であったと考えられています。

やはりコロナ禍で身についた「マスク着用・咳エチケット・手指衛生・3密(密閉・密集・密接)を避ける」などを継続する事が大事であり、加えてバランスの取れた食事や適度な睡眠・適度な運動・水分補給などの体調管理です。

自身や家族・大切な人にうつさないために、医療崩壊を引き起こさないために、私たちは出来る限り感染症に備えて予防行動を継続していきましょう。

このコラムが掲載される12月に、感染爆発が起きていない事を祈っています。
(執筆日:11月6日)


商品部 物流課 石塚 誓良
商品部 物流課 佐川 茂之

2020年11月28日
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